カンボジア総選挙「棄権は抗議の意」民主主義が崩れる日
コラム

カンボジア総選挙が迫ってきた。
しかし、街は静かで、盛り上がりはほとんどないといっていいだろう。
この5年間、カンボジアを見続けてきた。追いかけ続けてきた。
民の声を聞いてきた。
大手メディアが記事にするニュースを見ながら、報じてくれるありがたさとともに、
どこも同じ情報を伝え、「民主主義が衰退」「与党の強権化が進む」で終わるその情報に、
どこか哀しさを覚えた。
しかし、街を歩けば歩くほど、国民の声を聞けば聞くほど、空虚な気持ちになる。
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アメリカのニュースは、
「中国と日本の冷戦がカンボジアで繰り広げられている」
と伝えている。
友人の多くは、「投票に行かない」という。関心を急速に失っているようだ。
いつ、誰に、どこで聞かれているかわからないため、政治について簡単に口にすることはできない。
恐怖と諦めをまとったカンボジア人は、いつもと変わらない日常を過ごすことでしか選挙を迎えることができない。
SNSで投票のボイコットを呼びかけると、政府は厳しい罰を講ずると、公にしている。
フン・セン氏は強権姿勢を強める一方、人気とりにも懸命だ。1月ごろから毎週のように続けているのが工場詣で。5月にはプノンペン経済特区にある工場を訪れ、約5000人の労働者と懇談した。このほか、空港への鉄道の無料化、妊娠した工員への特別手当など国民受けを狙った政策を次々と打ち出している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32663890V00C18A7FF1000/