田中将介

-tanaka masayuki-

社員をサーフィンに行かせよう イヴォン・シュイナード

ビジネス

パタゴニアは、誰もが聞いたことのある会社名だろう。アウトドアスポーツの製品を販売、製造している。関心の高い方は、ご存知かもしれないが、パタゴニアは、環境への取り組みを牽引する企業である。例えば、1% for the planet(地球のための1%)を共同設立。売上高の1%以上を環境保護団体に寄付する企業同盟である。

 

1% for the planet(地球のための1%)

1985年以来、パタゴニアは自然環境の保護/回復のために売上の1%を利用することを誓約し、これまでに総額7,400万ドル相当の寄付を、米国内外のそれぞれの地域で活躍する草の根環境保護団体に行ってきました。そして2002年、パタゴニア社の創設者イヴォン・シュイナードと、ブルー・リボン・フライズ社のオーナーであるクレイグ・マシューズは、自然環境保護に貢献するビジネスの奨励を目的とする非営利団体を設立しました。

1%フォー・ザ・プラネットは、自然環境保護の必要性を理解する企業の同盟です。この同盟に参加する企業は、「ビジネスでの利益と損失は地球環境の健康状態にも直接関連する」ことを理解し、産業が与える社会的/環境的影響を懸念しています。

経営者の方は、1%フォー・ザ・プラネットへの加盟をご検討ください。年間売上の1%を草の根活動団体に寄付することにより、加盟企業は真の変化をもたらすことができます。同時に、メンバーは各自が属する業界において、責任ある企業としての地位を確立するだけでなく、環境に対する真剣な取り組みを高く評価する良心的な消費者からの認識、支持および信頼を得るという、さらなる利点を期待することができます。引用元

 

 

NGOではなく、企業が率先することに意味があり、このネットワークを広げたいと思う。

さて、内容を紹介しよう。

「社員をサーフィンに行かせよう」というタイトルは、創業者であるイヴォン・シュイナード氏が、なによりサーフィンをしたいからだ、と述べている。
本社が、カリフォルニア州ロサンゼルスにあり、日本支社が鎌倉にある。
それは社員がサーフィンに行きやすい、自分がサーフィンに行きやすいからだという。面白い。

しかし、そういい出したのも、仕事をする上で5つの狙いがあり、それは単に、会社の「フレックスタイム」と「ジョブシェアリング」の考え方を具現化したものにすぎないという。

さらに面白い考え方がこれだ。

 

「(社長である彼は)一年のおよそ半分は会社にいない。サーフィン、フライフィッシング、フリーダイビングなどをよくやる。これを私なりにMBAと呼んでいる。「経営学修士」ではなく、Management by adsence(不在による経営)だ。いったん旅行に出ると私は会社には一切電話しない。そもそも携帯電話もパソコンも持っていかない。もちろん、私の不在時に、彼らが下した判断を後で覆すことはない。社員たちの判断を尊重したいからだ。そうすることで、彼らの自主性が更に高まるのだ」

日本で働く会社員を見ていると、まさに、この真逆であり、苦しんでいる印象がある。

 

 

最後に彼からの強いメッセージを。

私たちの会社「パタゴニア」は実験的な試みだ。その存在意義はといえば、「母なる地球」の健康に警笛を鳴らすさまざまな書籍に出てくる「自然破壊と文化の崩壊を避けるために、すぐに取りかかるべき数々の勧告」を実行に移すことだ。

自然環境が崩壊の危機にひんしているとの認識を科学者たちがほぼ一致して持っているにも関わらず、私たちの社会は行動を起こそうという意思に欠けている。関心の欠如、気力の欠如、想像力の欠如に、集団で冒されているのだ。一方パタゴニアは従来の常識に挑み、信頼できる新しいビジネスのカタチを示すために存在する。現在広く受け入れられている資本主義のモデル、果てしない成長を必要とし、自然破壊の責めを負ってしかるべきモデルは、排除しなくてはならない。パタゴニアとその一千名の従業員は、正しい行いが利益を生む優良ビジネスにつながることを実業界に示す手段と決意をもっている。本書の完成までに、15年の歳月がかかった。それだけ長いときを費やしてようやく次のことを立証することができたのだ。従来の規範に従わなくてもビジネスは立ちゆくばかりか、いっそう機能することを。百年後も存在したいと望む企業にとっては、とりわけそうであることを。

 

 

社員をサーフィンに行かせよう 概要

 

私たちの会社で「社員をサーフィンに行かせよう」と言い出し
たのはずいぶん前からのことだ。私たちの会社では、本当に社員はいつでもサー
フィンに行っていいのだ。もちろん、勤務時間中でもだ。平日の午前十一時だろ
うが、午後二時だろうがかまわない。いい波が来ているのに、サーフィンに出か
けないほうがおかしい。
私は、数あるスポーツの中でもサーフィンが最も好きなので、この言葉を使っ
たが、登山、フィッシング、自転車、ランニングなど、ほかのどんなスポーツで
もかまわない。

私が「社員をサーフィンに行かせよう」と言い出したのには、実はいくつか狙
いがある。

 

第一は「責任感」だ。私は、社員一人一人が責任をもって仕事をしてほしいと
思っている。いまからサーフィンに行ってもいいか、いつまでに仕事を終えなけ
ればならないかなどと、いちいち上司にお伺いを立てるようではいけない。もし
サーフィンに行くことで仕事が遅れたら、夜や週末に仕事をして、遅れを取り戻
せばいい。そんな判断を社員一人一人が自分でできるような組織を望んでいる。

 

第二は「効率性」だ。自分が好きなことを思いっきりやれば、仕事もはかど
る。午後にいい波が来るとわかれば、サーフィンに出かけることを考える。する
と、その前の数時間の仕事はとても効率的になる。机に座っていても、実は仕事
をしていないビジネスマンは多い。彼らは、どこにも出かけない代わりに、仕事
もあまりしない。仕事をしている振りをしているだけだ。そこに生産性はない。

 

第三は「融通をきかせること」だ。サーフィンでは「来週の土曜日の午後4
時から」などと、前もって予定を組むことはできない。その時間にいい波がくる
かどうかわからないからだ。もしあなたが真剣なサーファーやスキーヤーだった
ら、いい波が来たら、すぐに出かけられるように、常日頃から生活や仕事のスタ
イルをフレキシブルにしておかなければならない。

 

第四は「協調性」だ。パタゴニアには、「私がサーフィンに行っている間
に取引先から電話があると思うので、受けておいてほしい」と誰かが頼むと、
「ああ、いいよ。楽しんでおいで」と誰もが言う雰囲気がある。一人の社
員が仕事を抱え込むのではなく、周囲がお互いの仕事を知っていれば、誰か
が病気になったとしても、あるいは子どもが生まれて三カ月休んだとしても、お
互いが助け合える。お互いが信頼し合ってこそ、機能する仕組みだ。

 

結局、「社員をサーフィンに行かせよう」という精神は、私たちの会社の「フ
レックスタイム」と「ジョブシェアリング」の考え方を具現化したものにほかな
らない。この精神は、会社が従業員を信頼していていないと成立しない。社員が
会社の外にいる以上、どこかでサボっているかも知れないからだ。
しかし、経営者がいちいちそれを心配していては成り立たない。私たち経営陣
は、仕事がいつも期日通りに終わり、きちんと成果をあげられることを信じてい
るし、社員たちもその期待に応えてくれる。お互いに信頼関係があるからこそ、
この言葉が機能するのだ。

 

ビジネスの常識を覆す永続する企業の経営哲学。著名なクライマーであり、サーファー、カヤッカー、スキーヤー、鍛冶職人、環境保護主義者でもある、イヴォン・シュイナードが、百年後も存在するために、従来の常識に挑み、信頼できる新しいビジネスの形を世界に訴えかける会社“パタゴニア”の歴史と理念を語る。

 

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