田中将介

-tanaka masayuki-

古代ギリシャも五輪中は休戦した 明石康氏

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古代ギリシャも五輪中は休戦した 明石康氏 (写真=AP) :日本経済新聞

2~3月に韓国・平昌で冬季五輪・パラリンピックが開催される。2017年11月の国連総会では大会期間中に敵対行為を控えるよう加盟国に求める「五輪休戦」決議が採択された。大会7日前から7日後まで戦争や紛争での暴力行為の停止を求める内容だ。

 国連総会では2年に1回、夏季と冬季の五輪開催の前年の総会で、休戦決議の採択が繰り返されてきた。ただ実際には軽視されており、事実上、骨抜きともいえる状況にある。五輪をむしろ政治利用しようとする勢力もある。

 08年8月の北京五輪開催中には、ジョージア軍と南オセチア軍との衝突にロシアが軍事介入した。14年にはイスラム武装勢力が同年のソチ五輪期間中のテロを予告した。

 五輪期間中の休戦は古代ギリシャに遡る。都市国家同士の戦争停止は相当程度守られていたといわれている。紀元前8世紀に制定された歴史を持つ貴重な平和提案であり、我々は実現に向けて努力を重ねるべきだと考える。

 実効性を持たせるために、まずは世界各地に存在している紛争のうち、五輪期間中に休戦・停戦させる候補を選ぶのはどうか。紛争の仲介で実績のあるノルウェーと国連が協力する形で進めるのも考えられよう。

 休戦の候補地をあげることさえ決して簡単なことではない。それでも対話の糸口がありそうな地域に呼びかけることには意味がある。現在ならば地中海キプロス島の南北間交渉が候補になるだろうか。気の遠くなるような作業かもしれないが、その先により解決の難しい中東問題もある。北朝鮮の核・ミサイル問題も決して諦めてはならない。16年には南米コロンビアの和平が実現している。

 国際オリンピック委員会(IOC)が00年に設けた、国際オリンピック休戦財団(IOTF)には各国の政治家や外交官、有識者が参加しており、世界各地での世論喚起につながる。対立勢力の間には、問題解決の基盤といえる人的、社会的、文化的関係が欠如している。国際機関は相互信頼や友好関係の構築に向けて協力できる。

 日本は20年に東京五輪・パラリンピックの開催を控える。17年11月から、日本スポーツ学会が休戦に向けた署名活動を実施している。私も呼びかけ人の1人になっている。東京五輪までの3年弱の期間を活用し、五輪休戦のアイデアに息を吹き込むのは意味がある。

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