白黒つけない考え方、正解のない問題にどう取り組むか
メディア

「正解を見つけよう」と僕たちは教育を受けてきた。その考え方はもう必要ないのかもしれない。
白黒をつけない、グレーゾーンを大切にしようと、ここ最近思うようになった。
昨年11月、沖縄県知事選挙を取材した際、普天間基地周辺に住むおじさんはこうこぼした。
「普天間基地はそのままでいい。辺野古の人に同じ苦しみを味わってほしくないから」
本音を言えば県外に移設してほしいけれども、現実的には厳しい。辺野古へ移設するのもいやだ。ならば、私たちは基地があることに慣れているから、今のまま、基地を受け入れたい。
僕は複雑な、なんだかもやっとした感情になった。実はそのもやもやが一番大切なのかもしれない。
ジャーナリストや映画監督が、ちょうど、そのもやもやについて話していた。
「ある事柄について、もやもやした感情を持っていて欲しい。そのもやもやが考え続ける種になるから」答えが出てしまえばそれで終わりだ。ただ、答えの出る問題なんて、たいした問題ではないのかもしれない。
白か黒か答えを出す必要などなく、これからの時代はグレーゾーンがあるという概念を認識して、対話を重ねていくことが重要になってくるのではないかなと思う。
過去の歴史からさかのぼり、今の時代を深く考察した佐々木俊尚さんの著書、21世紀の自由論―「優しいリアリズム」の時代へ (NHK出版新書 459) はとても面白く、このグレーの話が書かれている。
イチオシの本たちでもおすすめしているが、前著「当事者の時代」にも、詳しい。
言葉に出来ない感情。そのもやもやが私たちにとっては必要な気がする。